高校卒業後の春休み。
次の進路の大学も決まって高校生活最後の春休みで車の免許を取りに行く事を決意した私は卒業式の翌日に岡山の合宿所に向った。
もちろんこれは一人で参加。
友達から「一緒に車の免許取りに行こ」など言われたが
一緒にいくとその友達と一緒に行動する事が多くなる。安心感はあるけども色んな人との交流は限られるのが嫌で一人で行く事にした。
この時は親に受験よく頑張ったご褒美で30万ほどの費用を負担してもらった。
まず岡山に行く朝に新大阪駅に集合でプラカードを持ったおじさん運転手が迎えに来ていて、そこについて行くと20人〜30人くらい乗れる中型バスが止まっていた。
乗り込むと私くらいの18歳から20歳くらいの若者が多く見事その日は男しかいなかった。
バスの座席の隣を見ると見知らぬ18歳くらいの漫画を読んでいる男。見るからにヤンキー漫画大好きみたいな細眉の男だった。
思春期同士はどうコミュニケーションを取っていいかわからず、でも見下されないように少しお互い偉そうに座席に腰掛けたり少し大きめの咳払いをしたりした。
数時間後、岡山の合宿所に到着して視力検査や適性検査など順番にして行くので待ち時間があり少しずつ近場の人と会話する声が聞こえ出すようになっていた。
そして私も隣のヤンキー細眉男に声をかけた。大した会話をした記憶はないが一言発するだけでお互いの緊張していた心の糸が少し緩んだ。
そして気がつけば前の2人組とも仲良くなち4人でトランプの大富豪をして盛り上がっていた。
それから気がつけば10人くらいの集団になっていた。
そして翌日から教習の筆記や実技が始まった。特に難しいこともなくスイスイ進んで行った。
1日2時間の実技と1時間の筆記だけだと空き時間が長い。
ほとんど空き時間。
そして毎日10人で過ごしお互いの空き時間は喋ったりして授業が終わったら帰る場所(たむろする場所)ができた。
教習所内でキャッチボールしたり
寮の部屋で1つの部屋に集まってドッキリを仕掛けたり
ゲームをして過ごしたり
タクシーに乗り合わせてお菓子を買いに行ったり
筋トレをしたりして
毎日楽しすぎる日々だった。
そして卒業をする14日目にはみんなと離れるのが辛くて辛くて泣いてしまった。しかも岡山を出てから30分くらいしばらく…
一人印象的な人がいて、同じ部屋の男の子がクセが強い。
メガネのスポーツ刈りでこっちから話しても、必要な事以外は話しない。無駄なことはしない。僕は免許を取るためだけにここに来た。
みたいな男の子がみるみる変わっていった。
途中から僕たち10人と嫌がらず会話したり、一緒に筋トレしたりして少しずつ仲良くなっていき、私が帰る前日に寂しいと言って泣いてくれてた。
私は一度も筆記も実技も落ちることはなくストレートだったので
「ストレートの縁起物や」と言ってその男の子に自分がつけていた腕時計を渡した。
そしたら「二度と忘れません」と言ってくれた。最後まで敬語やったけど…笑
そんな男ばっかりの合宿生活だった‼︎
女の子が少なかったと言うこともあって運命的な出会いはなかったが
教習所のスケジュールで1日の最後の方に実技授業が組まれることがあって
その場合はほとんどの人が先に寮に帰っているため
教習所にはあまり人がいない。
わかりやすく言うと学校の放課後的な感じ。
自分の授業の時間が来るまで時間潰しにパソコンで試験問題特集みたいな問題を解いていてパッと気づくとそこには両サイドに女子‼︎
私は「ビッグチャンスやん」と思い、この状況両方に声をかけるのは自分の実力じゃ無理…だったら片方に絞ろう‼︎
パソコンの画面をずっつ見ながら横目でどちらの子に声をかけるか考え
「よし右の子」と思い右の女の子に
♂「すみません。この問題集ってどうやったら次の問題になるんですか?」
と知らないフリすると丁寧に教えてくれてそこから
♂「みんな帰ったらこんな感じなんですね」
♀「関西の人何ですか」
とか会話が弾んだ。
彼女は岡山の地元の子で自宅から通いで授業を受けているようだが
ギャルなのに方言で語尾に「〜じゃが」とか言うのが可愛らしかった。
その後そろそろ時間がなくなって来たので勝負に出た。
♂「このミニテストの50問中45問取れたら、メアド教えてや」と言うと
♀「いいよ」
…問題を解く‼︎
この時ばかりは気合いが入った。
そして最終問題を解いてエンターキーをポンと押した。すると‼︎
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
50問中40問だった・・・・・・笑
それを見て彼女も笑ってくれたので
♂「今日はあかんかったけど、これから頑張るって事で‼︎しかも応援してもらいたいからメアド交換しよか。笑」
と言ってメアド交換した。
それが私の合宿最中の甘酸っぱい恋の物語なのである。
そしてつい先日10年ぶりに会う事になり大阪駅の隣駅「天満駅」で集合した。
待ち合わせ場所に向かってる間特に緊張はしなかったが、19歳から29歳の10年間は色々と変化が激しいので顔わかるかな?と不安だった。
10年ぶりに会う。それも2週間しか一緒に暮らしてない人と・・・_
表現しずらい運命的な気持ちになった。
そして後ろの方から名前を呼ばれてパッと振り返るとそこに懐かしの顔があった。
そして楽しすぎて4件はしごして気がつけば終電もなくなっている時間になるくらい楽しかった。
合宿行って良かったー