いよいよ新学期が始まる。
新しい学校に来て1週間が経ち教員同士は少しずつ会話をして話せるようになって来た。
でもまだ生徒たちは登校していない。
初めての知的校。
どんな子がいるのだろう。この学校は日本でもトップクラスの生徒数なのでいろんな生徒がいると教頭から聞いていた。
走り回ったり
歌ったり
飛んだり
物投げたり
こんな感じかな?と期待に胸を膨らませて登校日を迎えた。それまでに名簿に目は通しているので顔と名前はおおよそ一致する。私はまたも中学3年生なので今年に修学旅行や卒業式が待ち構えている。
早速登校してくると走り回ったりはしているが、きちんと先生のいう事を聞いて整列したりしている。「賢い子たちだな」と言うのが初めの印象だった。
早速教室に移動して挨拶をする。するとみんな様子を伺うように私をみてくる。
教員の世界ではたちまち「黄金の三日間」というフレーズが使われたりする。
それは一般校などでは最初の三日間だけは怖い・厳しい先生を演じる。そしたら生徒たちも良い緊張感を持ってスムーズに新しい学年に突入することができるというものだ。
しかしそんな事をせずとも1週間もしないうちに生徒たちは私を含めた新しい先生に慣れてくれた。人懐っこい生徒が多くて明るい子が多かった。
おまけに同じクラスの先生方も美人2人がいて色んな意味で恵まれたクラスだった。笑
そしてその中でも特に比較的重度と言われる1人の男の子と私は行動を共にすることが多かった。
なぜならその子は悪気はないのだが、気がつけば人のお茶を飲んだり・水分と間違えてアルコールを飲んだり・近所にあるみかんを走って取りに行って食べたり・人の給食を手で鷲掴みして盗食したりする子だったからだ。発語がなく本能で生きていると言えばわかりやすいだろうか。
季節はあっという間に過ぎて秋になり、修学旅行に行った。
ここで一生忘れることの無い重大な事件が起きた。
これを
「一晩中う◯こ散乱事件」とでも呼ぼうか・・・
二泊三日の旅は初日から波乱だった。
1日目の夜になるとその発語の無い男の子はいつもと環境が違うことで不安になり泣き叫ぶ。そしてフロントから電話がなる。
フロント「すみません。下のお客様から迷惑だと報告があったんですが・・・」
私「すみません。いつもと慣れない環境で本人も戸惑ってるんです・・・」
フロント「では私どもで空いてる部屋を用意しますのでそちらへ移動していただけますか?」
私「いいんですか?」
フロント「ではご用意しますね」
電話を切ると部屋にいる他の生徒に
「先生と〇〇は違う部屋に行くから後は任したぞ。信頼してるから」
と生徒に言い残し2人で別室に移動した。
それがおよそ21時過ぎだった。
それでも泣き止むことはなかったが3時間ほどした24時ごろには泣き止んだ。
そして布団を敷いて2人とも寝転んで電気を消す。
少し泣き疲れて眠くなったのかな?・・・
そう思い私もうとうとして、起きてるか寝たかの間の瞬間
真っ暗闇の中から猛烈に臭い匂いがする!!!
「クンクン・・・・まさか!!!!」
慌てて電気をつけて目の前の光景に膝から崩れ落ちた。
目の前の光景は排便をしてしまっていて
布団が便だらけ・・・・畳も便だらけ・・・・襖も便だらけ・・・
生徒は便を漏らして手で触って粘土のように楽しんでいた。
そして口に運びむしゃむしゃと咀嚼してしまっていた。しかしその子は全く状態を理解していない。
私はてっきり「ここは地獄かな?」と勘違いするような光景にどこから手をつけて良いかわからなくなった。笑
シャワーを浴びさせて布団を変えて畳をトイレットペーパーでこすって綺麗にした。その時すでに夜中の2時!
この件でフロントに謝るのは明日の朝にしようと思いまずは寝かせることに専念した。
そしてまた布団に寝かせ真っ暗にして2人ともスヤスヤ寝そうになった3時過ぎ!!!
またもや便の臭いが!!!
時すでに遅し・・・・
先ほどのデジャブのような光景が私の目の前に広がっていた。
「これは夢だ」と信じたい。笑
でも私と生徒2人きり。また片付けをして結局その日もう一度便まみれになって一晩で計3回も恐怖の光景を見ることになった。一睡もしないまま私とその子は次の遊園地をミイラのようになりながら歩いた。
この光景を付き添いの教頭に見せると言葉が出なかった・・・
そうだろう!!
いくら教頭の長い教員生活でもこの光景は見たことがないだろう!
そして二日目の夜は20時から朝まで私とその子は一切起きず、レクレーションなどの活動にも参加せず爆睡していた事は言うまでもないだろう。笑
この事件のおかげでよりこの子と気持ちが伝わるようになって言葉でのやり取りは一度もなかったがそれよりも濃いもので繋がったような気がした。
そして無事に卒業を迎えることができた。
先生はいつになってもみんなの事が大好きやで!!!